【書評】なぜ、残業はなくならないのか

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要旨

政府が進める「働き方改革」において、残業時間削減や、効率化による生産性向上に力点を置いた議論が継続的になされている。また、国内最大手広告会社【電通】新入社員の業務過多(残業時間)が主因と報道されている自殺が、世間一般に対し長時間労働や働き方について考えるべき、という空気感を醸成した。
しかし、現実として、残業はなくなっていないかつなくなる見込みも薄い。その要因は、日本の労働社会が残業を前提として成立しており、日本企業の論理では残業がきわめて「合理的」だからである。

本書では上記を前提をとしつつも残業は削減すべきとの立場に立ち、解決が容易ではない残業問題にどのように立ち向かうかを論じている。特に、政府の「働き方改革」は「働き方改善」にすぎないと断じ、本質的な議論を求めている。

目次

はじめに 合理的な残業にどう立ち向かうのか
第1章 日本人は、どれくらい残業しているのか?
第2章 なぜ、残業は発生するのか?
第3章 私と残業
第4章 電通過労自死事件とは何だったのか?
第5章 「働き方改革」の虚実
第6章 働きすぎ社会の処方箋
おわりに

著者:常見陽平
働き方評論家・千葉商科大学国際教養学部専任講師。

各章サマリー

読んだところかつ気になったところだけです。

1.日本人は、どれくらい残業しているのか?

日本人の労働時間は減っている、という見方もできてしまう年間総実労働時間の推移は誤りで、非正規(うち5割以上を占めるパート)が含まれているから減ったように見える、との論。実際、別のグラフを見れば、正社員の労働時間は横ばいで推移していることがわかる。

会社の飲み会も残業時間か、との議論が書いてありましたが、残業時間として申請できる大手広告代理店もあってですね・・

2.なぜ、残業は発生するのか?

調査の結果、残業要因は、突発的な業務、業務量、顧客からの要望、繁忙時期などが上位にあがる。
また、”残業手当”という要素も効いている。(社員が残業手当目当てで仕事をだらだらこなす、という文脈よりはむしろ、残業手当を出した方が新たに人を雇うよりも安上がりである、という企業側の理論での説明)

筆者は、残業を次の3点を持って悪であると断じている。

・安全衛生管理の問題
・労働への参加者を制限する側面
・ワークライフバランス、クオリティオブライフの問題

4.電通過労自死事件とは何だったのか?

電通とは、好き嫌い、良い悪いではなく、強い会社だ。
電通は武士の集団だ。

そんな個人的な体験談を引用しながら、7つの点について論じている。
事象の、より深い背景に触れていないため、メディアの報道を元に考えてみました、に近しいものでしたが・・

1、労務管理
2、管理職のマネジメント能力
3、顧客や他部署からの過剰な依頼
4、仕事の質の変化
5、なんでもやる・成長を求められる日本型正社員モデル
6、人材マネジメント
7、会社と居場所

部下の手柄は上司の手柄にもなる、とはどこの広告会社もその通りで、それ自体が悪いことだとは思いませんが、それゆえにマネジメントできてない上司は消えた方がいいと思うことも多々ある私です;;
ちょっとだけ打ち合わせに出て仕切った気になって、それでこの業務は俺が〜なんて語り出すのはお笑い種です・・。

6.働きすぎた社会の処方箋

ライフハック的な章です。働きすぎないコツですが、

①1週間のうち働く時間を決める
22時退社、最低6時間寝る、などです。
時間に制約をかけると、その時間内で最大限の効果を得るために効率化を図り、結果として仕事もうまくいく、との論でした。

②1つの仕事にかける時間を決める
これも①と似たような、自身を縛る鎖です。
ストップウォッチを持って作業に取り組んでいた、できる先輩を真似した日々を思い出して吐きそうです。。。

③時間が美しく流れるようにする
移動時間、眠気が来る時間は考え事ではなくアポを入れる、などだそうです。

④仕事の命中率を上げる
短期的な視点で、使わない資料は作らない、必要以上の分析を行わない、といった戦術の可能性に触れている。
β版やディスカッションベースで打ち合わせできると方向性が確認できて簡単ですよね。そんな感じです。

⑤時間のへそくりを作る(バッファーを持つ)
⑥楽しいアポから先に入れる(一日が楽しくなるらしい)
⑦朝の時間を活用する(誰にも邪魔されず、冴えた頭で色々できる)
⑧自分だけで抱え込まない(人を頼る、人に振る)
⑨お金で時間を買う(タクシー移動や雑務の外注など)
⑩自分のキャラを理解してもらう(したい仕事が来るようになる)

わたしの評価(レコメンド)

★★☆☆☆(暇を持て余しているのであれば・・)

~~感想文~~

人文社会学的なアプローチやライフハック的な記述は参考になりますが、考察が浅く、曖昧な口調で語られています。
〜なはずだ、なんて言葉、それはそうかもしれませんが論拠は?と聞き返さずにはいられない箇所が散見されました。

書籍名が大上段、それに対する返しが・・
残業が悪だと語る理由もふわっとしていて、正直期待はずれでした。

繰り返しますが、ライフハック的なお話は参考になるので、この方の別の書籍を読んだ方がマシだと思われます。